第2章 光明という少女
「あ、いたいた!」
一方悟空はジープと光明を探し回り、食堂の裏で芋の皮向きにせいを出しているところを見つけて近寄る。光明が無愛想に頭をさげれば
「俺悟空って言うんだ、で、こっちがジープ。光明?コウメイ?って君だろ?さっき一緒に居た青竜は居ねーの??」
と立て続けに話していく悟空。
「ジープはさ車に変身すんだけどその青竜は何か変身すんのか?やっぱ車?」
そして
「それ店の手伝い?俺もって言いてぇけど包丁握ったことあんまないんだよなー」
手伝えるか??と包丁と芋を持ってにらめっこしだした悟空にぷっと吹き出す光明。
「あ、笑うなよー。」
「はは、ごめんなさい。ふふ、喋りっぱなしね悟空」
そう笑顔で言われたことにより自分を受け入れてもらえた感じがして笑顔を返す悟空。
「あの青竜は蒼って言うの。変身はしないけどサイズは自由自在よ」
そう言うと光明は首から下げている笛を吹いた。しかしその笛の音はせず、悟空が不思議がっているとジープと同じ様な鳴き声が聞こえ、あの青竜がやってきた。
始めは鷹位の大きめな影だったのが光明の肩に止まる時にはすっかり小さくなっており、スゲェェ!と騒ぐ悟空に笑顔を返す光明。
「ジープって言うんだ宜しくな」
と肩にいたジープを地面におろせば
「蒼も挨拶しようか」
と光明も蒼をおろす。そして二匹が仲良くやっていけそうな素振りに、二人は顔を見合せて微笑みあった。
「ジープ以外の竜初めて見た。」
そう言う悟空にジープも一緒に頷く。
「蒼はね。森で行き倒れているのを見つけて、それ以来なついてくれて一緒にいるの」
そう、まだ自分が幼い頃。
もっと東の町で綾の家族と暮らしていた頃。
いくら待っても迎えに来る気配のない兄の背を追って、ついに家を飛び出したものの道に迷い、そんな時に傷ついていた蒼と出会った。
綺麗な青い身体、師匠が紙飛行機を飛ばす時の空の色。
当時の自分にはなかなかに大きかった蒼を抱き上げ木陰で休ませれば、いつしか眠りについてしまい、目が覚めた時には雨音が。
しかし、目の前は薄暗く、光あるところを目指して出口を出ると身体を大きくしていた蒼が雨から自分を守っていてくれていたことを知った。