第1章 思い出
と綾に怒られながらも悟浄を睨み付ける光明はさながら番犬の様。
「すみません。私、結婚してる身で」
と指輪を見せ、幸せ顔の綾なんてお構い無しに
「人妻も・・・」
そそると言おうとすれば間に入ってくる光明に諦めを感じ
「へーへー俺は退散しますよ」
と、すみませんと苦笑する八戒と共に買い物に出かけた。
「本当また痛い目みますよ」
と町での買い出し中、
「美女相手なら本望だぜ。けど、あぁも虫けら扱いだとなぁ」
と少しまいっている悟浄をよそに
「コウメイ、光明さん。どちらも女性につけるには少しにつかない名ですかね」
「そーね」
「三蔵と何かあるんでしょうか?」
「さーね。けど、あのハゲ坊主にも女の影有とか安心するわー」
「え、心配してたんですか悟浄?」
「・・・・あえてそこをつつくなって」
そうして買い物を済ませていくと、先に外に出ていた悟空とも合流し、
「しかし物騒なもん持ってる奴とそーでない奴とで差が激しいなぁ」
と辺りを見回して悟浄が言う。
「守備隊なんだって!」
「隊?」
すると
「妖怪退治みたいなもんですよ。」
と、饅頭を買っていた店員にそう言われる。
「この辺りにも最近ちらほらと出るようになってね。それで塀をつくって町を守ってくれてる人達さ」
「あぁ、だから重装備なんですね」
「おかげで安心して暮らせてるよ」
笑みを浮かべる店員。また別のところで三人がその話をすると
「宿は綾のとこかい?綾は隊長さんの姉さんだからね。下手に言い寄ると痛い目みるよ」
と店主。
「番犬がもう一匹・・・」
「綾自身もあれで結構強いからね。あそこは皆強面さ」
と笑われる。
「コウメイ?コウメイは妹ってだけしかわからないねぇ」
「血は繋がってないはずだ」
「預けられている子」
「青竜と共にこの町を守ってくれてる子」
「隊長が居ない間はコウメイが綾の番」
光明の事も聞いて回ると皆、最後には
「「「「夜に化ける」」」」
と口を揃えて言う。
「あの番犬娘がどう化けるか見物だぜ」
「青竜ってあの肩にいたやつかな?ジープみたいに変身すんのかな??」
揃ってわくわくしている二人に八戒が呆れつつ、宿についてタバコを渡すついでに皆で三蔵の部屋に集まる。