第6章 これからは
戦いが終わり、部隊も一行もくたくたになって宿に着くと綾達が打ち上げを開いてくれることになった。
隊員は全員参加でというショウに
「交代制にしますか?」
と、その間も警護をこなそうとする隊員がこそりと相談する。せっかくならば皆で祝杯をあげたいものの、いまだ残党を心配している名を無下にもできない。けれども
「きっと大丈夫」
とその空気を読み取ってか名がそう言ったため
「「「「乾杯ーーー!!!」」」」
と全員が店に集まった。
食堂は埋まり、出入口にも人がたまる。人間もいれば妖怪もおり、その殆どが男なことに
「むっさ・・・」
「集まるとこんなにいらっしゃるんですね」
「ご馳走すげぇぇぇぇ!!!」
と机の上にはご馳走が広がる。一行以外は立食だがそんなのお構い無しにどんちゃん騒ぎが始まり、店の外にまで賑やかさが伝わる。
「こんなにうるさいのは久しぶりだ」
とあまり表情のなかったショウも笑顔になり、
「一行達に感謝を!!」
と礼をすると、皆が一行にグラスを持ち上げた。
近所からは会を聞き付けて差し入れが届いたり、じゃんじゃんなくなる酒を分けてもらったりして宴はその内無礼講に。飲み比べに、力比べ。やっと静かになったのはその日の、夕方も暮れかけた時だった。
「やっと静かになった」
と笑いながらカウンター内で綾と分担して洗い物をする名。
一行もカウンターへ席を移動したが、
「まだ呑めんのかよ。てめぇも!」
と少し赤くなった悟浄を、片や未だに食事をする悟空と片や未だに酒を飲む八戒が囲う。
「てめぇーなんて早々につぶれやがって!」
と八戒の隣ではうつらうつらしている三蔵。
三蔵がつぶれてからは隊員は悟浄達に絡みまくり、悟浄はすっかりくたびれていた。
「久々に満喫しましたねぇ」
「だなぁ」
「三蔵もこんなですし発つのは明日ですね」
「あーまた野宿生活が始まんのかー」
うだうだ言っている悟浄。ちらりと綾の様子を覗くと少し寂しげな表情、一方そんなのはお構い無しな表情の名。
「名は来ねーの?」
そして、悟空が名に向けた一言。
「・・・・・お前なぁ、ちったぁ空気読めよ」
と呆れる悟浄に八戒と綾が苦笑する。
「ご一緒しませんか?」
と言う八戒に綾がはっとする。