第2章 入学
「なに、そのアリス!初めて見てん
めっちゃええアリスやな!」
近くからの声で私は寝ようとしたところを起こされた。
少し機嫌悪くなりながらも声のする方を見た
ツインテールのうるさい女。
「ウチの名前は佐倉蜜柑!よろしゅうな紫苑」
あたしはそれもシカトする。
うるさい奴ら。
心の中でずっとそう思いながらまた寝ようとした。
「おい。お前」
……イラッ
どうしてこいつら私の邪魔ばかりする?
「お前アリス1つじゃねぇだろ」
黒髪野郎がそう呟く
なんで言ってないのにバレてんの?
「もう1つのアリスはなんだ?」
低い声で言ってくる少年。
「そんな棗!怒りながら言わへんくてもええやろ!」
蜜柑が叫ぶ。
あ、これがあの棗ね。
危険能力の猫さん。
学園に入る前から噂はずっと聞いてた
「吸血鬼」
私はそう呟いた。
棗の眉がピクっと動く。
「吸血鬼のアリスなんてあるんやなぁ紫苑めっちゃいいアリスばかり持ってるんや」
蜜柑がそう言いながら私に向けて手を差し出した。
「握手しよや!」
……。
私は蜜柑の顔を見ると
「馴れ馴れしくするな」
それだけ言って教室を出ていった。