第5章 未来
幸せだった。
最後に名前呼んでもらえて最後に抱いてもらえて。
これで私が学園に居るのは最後になるんだから……。
「紫苑…迎えに行けなくてごめん
おれ記憶無くされててそのあいだ今井と付き合って今さら今井も捨てれないけどオレ紫苑が好き」
ぽつりと真剣なまなざしで私の事を見つめながらルカは言ってくれた。
それが嬉しくて私は涙が出てくる。
今日ホントに泣いてばかりだ。
「蛍を大切にしてあげて欲しい
私は今日でルカに会うのが最後だから…今までありがとうさようなら」
「最後って…」
ルカが何か言おうとしたけど私は無視をして立ち上がり扉を開けた。
「待って…」
「貴方はなにも覚えてない何も知らない自分の部屋に戻りなさい」
ルカの目を見て私はアリスを発動した。
「あれ俺なんで五十嵐の部屋に居るんだろ」
そう言って部屋を出て行った。
これでいいさっきの出来事も全て私の心の中で生き続けるだけでいい。
私の計画は全て上手くいってる。
後は棗だけ…
私は部屋を出て棗の所に向かった。