第5章 未来
困った顔をするルカ。
そりゃあそうだ。ルカにとっては会った事も話した事も無いのに急に抱いてくれは普通の人間なら困るだろう。
「俺達付き合ってたんだよな…棗から聞いた」
棗変な事言いやがったな。
バレないように舌打ちをする。
結局付き合ってたって言ってもルカには記憶のない人物。
過去形だとしてもルカが覚えてなければ付き合ってたなんて言えないんだろう。
「ごめん忘れて…その代わり血を分けて欲しい」
頷くルカ。
これで最後。後は棗と仲良くして蜜柑にアリスを取らせればいい。
私は一般人、ルカはアリス。
そうしたら私は傷つかない。ルカの困る顔も見なくてすむ。
そう思いながら私はルカの首を噛む。血を貰う。
「なんか…懐かしいな」
ボソッて言うルカ。
少しでも思い出してくれたなら嬉しいそう思うと涙が零れる。
「何も覚えてなくてごめん
けど昔の俺は本当に五十嵐が好きだったんだと思う」
そんな事言わないで悲しくなるから…
もう私は我慢の限界でルカの首筋を舐めた。徐々に上に行って耳たぶを齧る。
抵抗も拒否もしないルカ。
「最後だけね」
ルカはそう言って私を押し倒した。
きっとこれが身体を重ねるのが最後。
私がルカに会うのも最後。