第2章 再会
「エテーネルキューブを作るには入手困難の3つの素材がいる。1つ目はアルケミダスト。この時代に優秀な錬金術師と出会えたのは幸運だった。」
アルケミダスト…?
優秀な……錬金術師。
なんか聞いたことあるようなワードだなぁ。
まぁ、いっつも似たようなもの集めてるし気のせいか…。
「2つ目が時の球根。これも錬金術でどうにかしようと悩んでいたが…。」
クオードがこちらに歩みよってくる。
「お前のおかげで手間が省けた。どうやって手に入れたのかは分からんが、相変わらずお前はモノ探しの天才だ。」
「……ねぇそれほめてる?」
「ほめてるさ。」
なんか使いっ走りみたいでやだなぁ。
……まぁ、時渡りで過去を巡ってからそんなことしかしてないんだけどさ。
「そして、3つ目がボロヌジウム。時渡りの力と莫大なエネルギーを内に封じるキューブ外装の素材じゃ。ボロヌス溶岩流から採掘される希少な鉱物資源でな。魔力を宿し、とこしえの輝きを放つ。」
ウルタ皇女の顔が暗くなる。
「ガテリアは国の宝であるボロヌジウムを譲るはずもなかった。交渉で済むならどれだけ良かったか……。結果的に、ボロヌジウムを手に入れるためにかの国へ侵攻し、滅ぼすほか無かった……。」
それが正しかったのか……。
と、ウルタ皇女は俯く。
そんな彼女を安心させるべく、肩に手を乗せ、クオードは喋り出した。
「ウルタ皇女、そもそも戦争を仕掛けてきたのはガテリアなんですよ。滅亡したのも当然の末路です。」
クオードさん……なかなかえげつないこと言いますなぁ。
「前皇帝、ジャ・クバ様を殺したのは…ガテリア王国第1子の皇子。悪鬼ビャン・ダオなのですから。」
「ぶっ!?!?!?」
ビャン・ダオって…アイツじゃん!
あのめちゃくちゃ振り回してくれたあのドワーフじゃん!?
…でも、アイツにそんなことが出来るだなんて、思わない。
正義感強くて、ガンガン突き進むような奴だもん…。
そこには納得がいかなかった。
「どうしたんだ、テレサ。」
「なんでもない…。」
クオードによると、ビャン・ダオは和睦を深めるため、ウルベア帝国にやってきた。…だが、信頼を深めたところで、ジャ・クバさんの皇室で命を奪ったらしい。
うーん…なんとも想像しがたいなぁ。