第4章 後悔
彼女の前にしゃがみ、彼は持っていたエテーネルキューブを前に差し出す。
「残念だけど…あなたの願いは永遠にかなわないよ。……どんなに強く願ってもエテーネルキューブはエテーネ人が持つ時渡りのチカラにしか反応しないんだ。」
エテーネルキューブを持って、それを聞いたウルタ皇女は悔しそうに。
唇を噛み締めていた。
ああ……そうか。
このウルベアの技術を使うために…。
クオードは彼女すらも利用していた。
「あなたにずっと打ち明けたかった。だけど長い間自分の研究室すら出れなくて。ごめん……。」
クオードはこの時代に来て、数え切れないくらい。
償いきれないほどの罪を負ってしまった。
そして、ウルベア大魔神で…。
「姉ちゃん、グルヤンラシュはウルベア大魔神でなにか企んでるはずだよ。……いこう、彼を止めなきゃ。」
エルが走り出すものの、私は歩みを止めてしまう。
「姉ちゃん?」
彼は不思議そうに私を見つめて、腕を引っ張ろうとする。
「ねぇ、エル。……もし姉ちゃんがさ。グルヤンラシュに対して迷ってしまったら。」
"私を殺して"
真剣な眼差しで、私は自分の弟を見つめた。
こんなこと言うなんて、弟にとってきついことだって分かってる。
でも、いざ彼の姿を見てしまったら迷いそうで。
「姉ちゃん…。おいら、姉ちゃんが正義感強いのしってるよ。悪事を許せないこと。」
きっとこの弟は気づいたんだ。
私とクオードのこと。
「だから、どんな人でも。姉ちゃんなら制裁を下せる。……きっとね。」
行くよ!と今度は私の腕を引っ張って、大魔神格納庫の中へと入っていく。