第3章 衝撃
開発中枢区まで来たところで、彼と彼女に声をかけた。
「クオード!ウルタ皇女!」
クオード達はこちらをチラと見て、笑いかけてくれる…が。
「ああ、お前か。ちょうどよかった。ついにエテーネルキューブが…。」
リウ老師の姿を見るや、怪訝そうな顔に変わる。
あぁ、やっぱ連れてくるのは良くなかったよね。
当たり前だ。
だって、リウ老師はウルベアを裏切った人物。
そんな人が今更何の用だ。そんな感じだ。
「おひさしぶりですな、グルヤンラシュ殿。そしてウルタ皇女、お美しく成長されましたな。」
「リウ……老師!?」
「大罪人の脱獄に手を貸した後レジスタンスどもにかくまわれたそうだな。今更何をしに来た?」
クオードもウルタ皇女も鋭い眼差しでリウ老師を見る。
私はなんだかここから逃げ出したくもなった。
「……私は皇帝ジャ・クバ暗殺の真相を解き明かしにきました。」
「暗殺の真相じゃと……?何を申すかリウ老師。ビャン・ダオじゃ。あの悪鬼が我が父上を殺したのじゃ!」
「では確かめてみましょう。誰の目にも明らかな証拠が残っているはず。……そうですな?01号…。」
「いっ…01号!?!?」
リウ老師が01号と呼びかけたのは、ウルタ皇女のマリッチだった。
じゃあマリッチは…リウ老師の…。
「この子はわらわの世話係、マリッチ。01号とはなんのことじゃ。」
「ウルベアの魔神機は私が生み出したもの。はじめての試作機には01号と名付けジャ・クバ陛下に献上したのです。」
「確かにこの子の素体は父上の側仕えをしていた魔神機じゃが……。」
「08号を通してマリッチの素体を見させて頂きましたよ。あれはまぎれもない私の刻印でした。」
あの時…ウルタ皇女がマリッチの修理をしている時に08号が首をかしげていたのはこの紋章の事だったのか。
「さぁ01号よ。調印式の前日、ジャ・クバ様の居室にて記録した映像を再生なさい。」