第3章 衝撃
リウ老師がそう言うとマリッチは動き出し、自身から映像を出そうとした。
「01号に戦闘能力はありませんでしたが、皇帝の体調管理をおこなうための記録装置をつけていました。これは01号がとらえ保存し続けていたジャ・クバ陛下の最期の映像……。」
ここに……犯人が……。
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01号がジャ・クバさんに近づいていく。
彼は笑いかけ、01号に話した。
「明日の調印式でようやくドワチャッカ大陸に安寧の時代が訪れる。兵士たちが尊い命を散らすことも莫大な軍事予算が民草の生活をむしばむこともない。お前達忠実なる魔神機たちが戦場でキズつくこともなくなるのだよ。よく頑張ってくれたのう…。」
そう言って01号の頭を撫でるジャ・クバさん。
う…口がどアップに…髭きたねぇ。
「ガテリアにも平和を愛するものがいてくれた。ウルタもいつかあの青年のような…。」
いい終わらないうちに、ジャ・クバ様は危険を察知したのか、後ろをむく。
01号は犯人に壊されたのか映像を映さなくなっている。
が、音声だけは残っていた。
「お、お前は…いったいなぜ!?」
お前じゃなくて名前を言ってくれ爺さん。
これじゃあ…。
誰が犯人なのか…。
項垂れていると、映像がまたプツンっと写った。
そして倒れたジャ・クバの隣で剣を持って立っていたのは…
「ク……クオー…ド……。」
分かっていたのに。
グルヤンラシュという名前の時点で。
分かってたのに……。
私は立っていることが出来なくなっていた。
映像から聞こえてくるのはジャ・クバさんの苦しむ声。
そして、ウルタ皇女に未来を託して。
ジャ・クバさんは息を引き取っていった。