第3章 衝撃
気持ちが晴れないものの、
無視するわけにはいかないので、リウ老師のところへ戻っていった。
「おかえりなさい。テレサ君、08号。遠路はるばる呼び戻してすみませんな。」
「あ、いえ…。」
リウ老師は特にクオードと仲良くやってる事には何も言ってこなかった。
…とはいえ、プライベートだしね、うん。
「08号を通して状況は把握しております。あなたの活躍のおかげでじつに素晴らしい成果があがりましたよ。」
「成果…ですか?」
「ええ……私が期待していた以上にね…。」
最後の一言は、すごく重みがあった。
それと同時にすごく嫌な予感がした。
私が黙っていると、リウ老師が口を開いた。
「あなたのその腕を見込んで、今回ウルベアに潜入してもらった本当の理由を話しておきたいと思いました。」
…え?ウルベア大魔神を止めるため…じゃなくて?
「私はかつて……ウルベア地下帝国に仕える筆頭技術者でした。人々の暮らしを豊かにしたいという前皇帝のジャ・クバ陛下の勅命を受け、魔神機をはじめ多くの発明をしたものです。」
…ん?てことは…。
「まさか裏切り者ってことですか!?リウ老師さん…あなたそんな人だったんですか…。」
「違います。話は最後まで聞いてください。……しかしウルベアではグルヤンラシュが急速に台頭し陛下のお心をとらえると軍事技術にかたよった開発方針を推し進めるようになりました。」
グルヤンラシュ……クオードが戦争を…。
でも戦争を仕掛けたのはガテリアなんじゃ…。
「私はその方針に納得出来ず、技術協力を断りガテリアはと亡命、ガテリアでは第一皇子ビャン・ダオ様の家庭教師として教え導いておりました。」
「ビャン・ダオ様って…ジャ・クバさんを殺したっていう…?」
「そんなわけはない!あの方はじつにいい教え子、聡明なだけでなく心根がまっすぐで情熱に溢れていた…。」
まぁ、それは私もわかるよ。
誰よりも国のこととか考えてたし。
だから、殺すって言うのはやっぱり考えらんないなぁ。