第2章 旅医者の女
しばらくそうしていた後、ディルバリーの船に乗り込み、赤髪海賊団のみんなを見た。
「みんな、ありがとう!楽しかった!
シャンクスと兄上の事よろしく頼みます!」
みんなに届くような大きな声で言うと雄叫びが上がり、中には泣く者もいた。
「ボルさん、エリさん、世話になった。ユリのこと、宜しく頼んだよ。」
「あぁ!こっちこそ楽しかったよ!くれぐれも酒飲みすぎんようにな!また会えるのを楽しみにしているよ」
「ユリちゃんにはお世話になります。本当に良い出会いをありがとう!」
お互いに言葉を交わしあうと、双方に架けられた橋は外され、二隻はどんどん離れだした。
どちらとも、姿が見えなくなるまで手を振り続け、やがてレッドフォース号は見えなくなった。
「良い奴だったな!あいつら!」
「ユリちゃん凄い奴だったんだな!海の男に大事にされてよぅ!」
とクルーが言ってくる。
「私が凄いんじゃない。彼らが凄いの。」
そういって、彼らが去った方向を見る彼女を、ディルバリーの微笑ましく見ていた。
そして、気持ちを切り替えたように向き直ったユリは、皆に頭を下げた。
「改めまして、護衛と船医を勤めさせて戴く事になりました。リドルユリです。よろしくお願いします。」
そういうと、みんなは拍手で歓迎。
「こっちこそ宜しく頼むよ。とりあえず、白髭海賊団のみんなにも顔見せてゆっくりして行くんだろう?
彼らの縄張りに入るまでの護衛は頼むよ。」
そう。もう赤髪海賊団の皆はいないし、ここは新世界。
海賊王の座を狙う強者が集まる海。
ユリは気を引き締めるために白衣を纏った。