第6章 死者の声
サクを拾った経緯と一緒に居た時のことを話すと、目を輝かせて話を聞いている飼い主は、よほどコイツを大事にしているのだろう。
話しぶりから、俺が時々聞いていたコイツが脳ミソに話しかけてくる言葉も聞き取れるようだ。
サクの頭を撫でてやると、俺の膝に飛び乗ってきた。
「余程、大事にされてきたんでしょ…?
長らく会えなかったお友達と再会できてよかった…」
「お前こそな。今でも、お前と過ごしてきたこととかいっぱい語り掛けてくるんだ。
この海中飛び回って、いろんなやつ助けてるんだろ?」
「そんなことまで言ってるの?」
困ってるのか照れてるのかよくわからねぇ表情で縮こまる目の前の女が、俺が思っている以上に凄く強いヤツだと内心ワクワクする。
戦ってみてぇとか、あわよくば一緒に海賊やろうとか誘ってみたいと思ったり…。
その内誘ってみようか?
徐々に打ち解けてか、かしこまった物言いからどんどんフランクになるのが心地よく思える。
いい仲間になってくれそうだなぁ。
そんなことを思いながらユリの話に耳を傾けていた。