第2章 旅医者の女
最後に海の景色でも拝んでおこうと甲板にでようとするとユリとシャンクスが話をしているのが見えて、なんとなく影に隠れた。
シャンクスは俺たちがガキの頃からユキよりアイツに甘かったが、先日再会した時から見ていて、思ったところがあった。
ユリに惚れていて、何故だか行動に踏み出せないことがあるということ。
そして、当人もその気持ちには気づいているものの、気持ちは"応える"ことができずに、カモフラージュされた言葉や意味をそのまま受け取っている。
それはシャンクスも勿論気付かないわけがない。
お互いがそれで満足するなら見守るべきだ。
片方はもう立派な大人。もう片方はまだ少女と呼ばれるような域で、俺の知る限りでは恋愛値は未知数。
どちらを味方するかと言ったら勿論ユリだ。
勿論、二人がうまくいきそうで焦れったい状況なら何らか動くかもしれない。
今は何も知らないっていう設定で見守ろう。
船はもうすぐ海上に出る。
そうするとユリは白髭の親父に会いに行く。
俺は、赤髪海賊団に入ってからはシャンクスをたてて白髭には会わないようにしてきた。
そんなの関係ねぇから顔を出せって言われたけどな。
あいつから聞く白髭海賊団だけで今は満足なんだ。
だから、十分に楽しんできてくれたらいい。
次会うまでには強くなれよと、その華奢な背中に言葉をかけた。