第2章 旅医者の女
結局、私から変わってとお願いしたけど、また会えるから良いじゃないかとか、そろそろ船の方は大丈夫かい?って言われた。
終いには、3日以内にハンドアイランドな?親父に伝えとくぜ!って一方的に切られてしまった。
呆気にとられていると、そろそろ行くぞと兄上に呼ばれて、借りていた部屋を出た。
シャンクスと兄上と硬殻塔のしらほしに会いに行き、別れを告げると涙をボロボロと流す彼女を宥めて、必ず電話するという約束を交わした。
乗船すべく見送りに行くというネプチューン王と王子達とともに港へ向かった。
港には二隻の船が並び、見送りの兵と住人がごった返していた。
陸の種族はあまりよく思われていないはずなのにとよく観察するとよく見れば子供連れが多い。
「わぁ!鳥さんの綺麗なお姉さんだ!」
という子供の声が聞こえてきて、状況を納得できた。
「咲!子供達にあなたをもっと見せてあげましょう?、地上に来たことの無い子供達はきっと喜ぶと思うの!」
というと、咲は私を乗せる大きさまで巨大化して、私を乗せた。
キィ!っと一声あげて勢いよく飛び上がると歓声が湧き、子供達の喜ぶ声が響き渡る。
辺りを旋回しながら下の様子を伺うと、当然ながら大人は複雑そうな顔をしているのも少なくない。
しかし、大人の大半は地上への憧れなのか子供と一緒になって初めて見るであろう地上の生物に歓声を送っていた。
その様子をネプチューン王と王子達は嬉しそうに眺められ、その顔は亡きオトヒメ王妃の地上で人間と手を取り合って生きていくという思いを思い返しているようだった。
「お姉ちゃんありがとう!」
「鳥ってカッコいいなぁ!」
子供は自分の感情に素直だ。
その純粋無垢で真っ白なキャンパスに色を塗るのはいつだって親と回りの大人達。
それは地上でもこの魚人島でも同じこと。
でも、どんな色に染まっても、遅かれ早かれ己の染まった色が自分であるか、または真実であるかを向き合う日が訪れる。
どうか、それの出来事が、自分達人間と魚人の未来を良い方に切り開くものであって欲しいと願わずにはいられなかった。