第2章 旅医者の女
結局ギリギリまで粘っていたモルトさんも潰してしまって、私の勝利。
「勝ちぃ!!」
一升瓶を高らかと振り上げてまわりで見ていたみんなと盛り上がった。
「だははははは!ユリ、おまえ最強だぁ!」
「強いなぁ!酒デビューしたばっかりだとは思えねぇ!」
よく考えればこのグループでは最年少の私。
そんな私が勝ったことが面白いらしく、負けて先に潰れた人たちは寝転がったままお腹を抱えて笑っていた。
ふと、後ろを振り替えると
兄上は相変わらずしらほしの相手をしている。
そんなに酔っていないようだ。
兄上もあの感じだとしらほしの気持ちに気付いているのだろう。
兄は兄なりにああやって、あの子の気を紛らしている。
もう暫くするとまた硬殻塔での生活に戻るしらほし。
次はいつ外に出せるかわからず、一人外の光が入らない場所で、少しでも今日のことを思い出して貰えたら本望だ。
膝枕で横になってたシャンクスはいつの間にか寝ていて、助けを求めるために副船長のベンさんを呼んだ。
「頭がすまねぇな。ユリも偽兄妹とはいえ、こんな兄貴で大変だなぁ。」
と、優しい顔で微笑んで、寝ていたシャンクスを二人ががりで部屋まで運びにいった。
しばらくしてしらほしも、兵と兄上とともに硬殻塔に帰り、宴はお開きになった。
私は用意された部屋で、明日のみんなのための二日酔いに効果がある煎じ薬を用意し、
明日の出向の準備を整え横になった。
明日は、赤髪海賊団と兄上とお別れ。
そして、ディルバリーカンパニーのみんなと白髭海賊団の縄張り、職人の町ハンドアイランドへ行く。
海上についてから、約二日。
研修が終わったことは報告済み。明日、連絡を入れてどこで落ち合うか話をするつもりだ。