第2章 旅医者の女
私がこの部屋にいることで滞在時間が無制限になったこともあって、時間を忘れるほどはしゃいだ。
私たち兄妹のこと
研修医としての出来事
赤髪海賊団の冒険
ディルバリーカンパニーの話
父様、母様のこと
しらほし兄妹のこと
王宮での珍事件など
しらほしは、地上への憧れが強いため、聞き慣れないことがあるとすぐに質問するなど身を乗り出すようにして話を聞いていた。
暫くしてでんでん虫がなり、宴の準備ができたから広場に来られよとネプチューン王からの知らせであった。
「じゃぁ、俺達は行くよ。」
私たちが立ち上がると、しらほしは一瞬寂しそうな顔をした。
「楽しんで来てくださいまし。」
と笑顔で手を振る彼女。寂しいのを我慢しているのはよくわかった。
「しらほし。あとで二人でガールズトークしましょう?」
と笑って見せると、キラキラと目を輝かせ楽しみにしておりますと言った。
硬殻塔を出て6人で広間に行くと、もう宴が始まっているかのように賑やかで、笑い声があちこちで聞こえてきた。
私の姿を確認して、見慣れた人物が近づいてきた。
「ユリさん!よくおいでなさった!話は国王から聞いておる。正式に医者になったとな。おめでとう。」
「ジンベイさん!お久しゅうございます!いつこちらへ?」
「お前さんがくると聞いてからじゃ。昨日ここに戻ってきたわい。祝い酒を持ってな。」
そい。といって、和酒をズイッと差し出した。
「あら!ありがとうございます!わたしがまだそれを好きだと言ったこともないのに!」
興奮気味で喜ぶユリに目を細めて微笑むと偶然じゃが良かったと言って隣に座るよう促した。
私のことを聞きつけてきてくれたという人たちに次々と酌をして、一通りまわって話をしていった後、
しらほしのところへ行くと告げて会場を後にした。
こんなにみんな集まっているのに、独りぼっちでいないといけないなんてと
気になってしょうがなかったのだ。