第2章 旅医者の女
しらほしは、4年も軟禁状態だったという事実を感じさせないほどの明るくて、兄上もシャンクスも驚いているようだった。
まだあどけなく幼いのに、どれだけ彼女は強いんだろう。
そう思わざるを得なかった。
「こりゃ、ビックリだな。驚いた。
お初に御目にかかる。人魚姫。俺はシャンクスだ。ユリとヨシタカが世話になってる。
これからもよろしく頼むよ。」
「お世話になっているのはわたくしの方です。シャンクス様!
こちらこそ、よろしくおねがいいたします。」
挨拶が済むと、しらほしの視線はユリの肩に留まる咲へと向けられると、咲はしらほしの大きな指先に飛んだ。
「こちらのお鳥様はユリちゃん様のお友だちでございますか?」
咲をマジマジと見るが咲は微動だにせず、されるがまま。
心が解るのか、主人の気が伝わるんだろうか?
「そうよ。しらほし。咲って言うの。このあいだ出会ったばかりだけど、もう心強い相棒よ。」
「そうなのですね。わたくしにもお友だちができたのでございます!メガロおいで。」
寝ていたのか、眠そうな目をしてシャーシャーといいながらしらほしの膝に乗った。
王家のペットらしい装いをしていて、鮫とは思えないほど可愛らしかった。
話し相手も話す時間も短い彼女のために父であるネプチューン王がさずけたという"お友達"。
しらほしとの面会は王子達か女性で親しい間柄なら制限はないが、男だけの場合は5分という制約があると聞いた。
生憎、男所帯で、母であるオトヒメ王妃も亡くなった後であるため、話し相手がおらず最初の頃は塞ぎ込みそうになったという。
それはそうだ。出来るならはやくデッケンを見つけてこの子を楽にしてあげたい。
そうは言っても
どこに行っても見聞色の届く範囲にもいない敵。
ここは、海底10000mの海の底の島。
守られた生活居住区から出て探すことは我々人間には死を意味する。
つまり、捜索すら不可能。
見つけたら即捻り潰してやりたい。
女をなんて思っている...。