第2章 旅医者の女
時計の針は深夜2時に差し掛かり、思惑通りユリは眠りについた。
寝顔は幼い頃の面影があって無防備な顔。
姫抱きにしてベッドに連れていって寝かせた。
「何とか、機嫌良く寝てくれて安心したよ。」
「あぁ。俺達がいるときだけでも、誰か一人つけた方がいい。
外で一人は大丈夫かもしれないが。」
外では気を張っているのか、幼い頃から怪しい人物に気づくのが早かったので、撒くか、逃げるかで危ない目にあったこともないらしい。
その勘は、人拐いが多く、ヒューマンショップもあるこの島の環境が、元からあった"人を見る目"の鋭さと、見聞色の覇気を育てたに他ならない。
結局は、他の誰かと用事で出掛けた時も部屋に戻るとき、本人に電話させるようにし、俺かシャンクスのどちらかが付き添うこととなった。
「もうそろそろお前も寝ろ。俺も大概眠たくなってきたぞ。」
「"お頭"はベッドを使ってくれ。俺はソファーでいい。」
ベッドは二つ。
みんなの前で言うように"お頭"と言ったのは、船長なんだから、ゆっくり休んで欲しいと思って強調していった。
いや、俺がと立ち上がったシャンクスはベンさんに言われても相変わらず、飲みすぎてしっかり立てないくらいに酔っぱらってた。
よろけたところをすかさず支えて、ベッドに寝かせる。
すまないというこの人はお酒に対して"反省"とか"学習"という概念はあるのだろうか。
ベッドに寝かせて1分も経ってないのに寝息をたて始めた兄兼頭。
俺もソファに横になり目を閉じた。