第2章 旅医者の女
「そこまで決まってるのなら、止めることはしないさ。
本当はユリにも俺の船に乗って貰いたかったんだがなぁ...。」
「あら、兄妹3人ではいろいろやりづらいこともあるでしょう?」
シャンクスのグラスが空になったのを見て、ユリは何も言わずそのグラスに酒を注いだ。
「そんなことはない。
ちょっとした俺の夢でもあったんだぞ?ユキはユリより先に革命軍に行ってしまったけどな。」
ユキは2年前、俺に革命軍に入隊すると言って家を出たきりで音沙汰もない。
父様や母様、ユリにすら連絡もしなければ、白髭の親父のところにも、こっちにだって連絡がとれていない。
もともと、でんでん虫を使って通話をするという行為事態が苦手だったあいつ。
手紙という手段もあるのにそれもよこさない。
目の前にいる妹は多いときには毎晩のように連絡をくれていたのに。
生きている証拠はビブルカード。元気でやっているのか、本人がいる場所を指すそれが、毎日のように違う方位を指し示している。
“引き付ける本人がいなくなれば消えるカード“
生きて元気でいることは確かだ。
潜入や、きっとそれに近い任務とやらで連絡をよこさないのなら、
それでいい。
俺達は別々の道を選んで、また、6年後、故郷で共に戦う。
その時まで自由に生きると誓った。
それが叶えばいいのだ。
話はこの3人が知る話ばかりで、盛り上がった。
いつしかユリも酒が入ったせいもあって、いつも通りの笑顔を見せるようになってきた。
このまま寝落ちするまで話して飲み明かすパターンだろう。
シャンクスも俺も
流石に今夜はこいつを一人にしておけない。
男女だからどうこうするとかは、そんなことはしないし、気にしないでいい。
ユリが不安に刈られているなら、幼い日のように枕を並べて寝る。
ただそれだけのこと。
なかなか酔わないらしいこいつを最後まで起こしておいてはならない。
最後に寝るのは俺が適任だろう。