第2章 旅医者の女
その後、ホテルの支配人が来て、一緒に来たスタッフ達とともに、セキュリティーの厳重なスイートルームに通された。
3部屋も並びで同じような部屋だったのでやりすぎじゃないかと思ったが、ユリの心のことも気にかけけてくれてのことだったようで、快諾。
酒もボトル3本付けてくれて、スタッフが去った後、
ユリの部屋で3人で乾杯した。
こいつの気を紛らすためだ。たわいのない話をしながら酒でも飲めば一人でいるよりはいいだろう。
7年前、俺が船に乗った日以来だ。子供のころ沢山からかわれたが、船出の時まで俺達の本当の兄のように世話を焼いてくれたし、こんな風に話したりしていた。
先程、鳥の話になったとき、何か気まずそうな顔をしていたこいつは、いつものことから推測すると、何か話していないことがあるんじゃないかと思った。
「で、おまえの事だ。何かその鳥に関して話していないことがあるんじゃないのか?」
「うぅ....。良くお気づきで....。
今日決まったことなんだけど、白髭の父さんのところに顔を出した後、
私、しばらく商船の護衛と船医として、ディルバリーカンパニーの船にお世話になることになったの。」
聞いてるシャンクスと俺はグラスを持ったまま固まった。
構わず話を続ける。
「1~2年は世界中を見て回る旅をするわ。この子はそのために飼ったの。
この子は咲。鳥種は隼。悪魔の実を食べていて、人を乗せて飛ぶことができるのよ。
鳥類最速の飛行ができる鳥だから戦闘向きでもあると思うの。」
そういえば、父上が最期の手紙に書いていたな。
旅をせよと。
昨日の話からしてもディルバリーは世界規模の商社。
支店の者と関われば、いろんな町の様子も、政策も見て回れるだろう。
「俺はいいと思う。
いずれ、その時見てきた経験があの国の為になるかもしれない。
ユリもそう思ったのだろう?」
そうだというこいつは、これから世界一の商社の船に乗って世界を見ることになるのか。
俺は海賊として、弟として見てくれて、俺が男惚れしたシャンクスの船に乗り世界を見ている。
いろんな視点で見たそれぞれの世界から、新たに国を建て直すとき、それは必ず生きるだろう。