第2章 旅医者の女
鳥籠に咲を入れたまま予約した部屋がある階にたどり着く。
両隣の部屋のシャンクスと兄上は案の定帰っていないようで、直行で自室に帰った。
もう既にリラックスモード。
自室のシャワールームで汗を流していると、
キィーーー!キィーーー!
ガシャン
「ぐわぁああ!!」
咲の鳴き声に男の叫び声、鳥籠の音。
シャワーを止めてバスローブを羽織り、脱衣所においた水弧と氷傀を持って部屋へ向かった。
「何をしに来た!」
ドアを開けながら威嚇の声で話すと、
そこには、鳥籠を出て大きくなった咲が私を守るように立ちはだかっている。
翼の脇から抜けるとやはり見知らぬ男3人
咲に一撃喰らったようで額から血が流れている。
咲を見て腰を抜かしたのか座った状態で後ろに手をついてガタガタ震えていた。
「来る部屋と襲う相手を間違えたね。アンタ達。
ここで世話になってる。汚い血で汚したくない。
覚悟しな!」
氷傀を鞘から抜いて斬りかかる。
時間にしてほんの一瞬。
男達からでた血は一瞬にして氷と化す。
「ひぃ!」
「どういうことだ!」
「ち.....血が凍ってる!」
「私は医者の端くれ。殺人は好まぬ。
ついでに私のこの姿を見たその目も潰そうか?」
ヒュッと男の目の前に刃を突きかざす。
覇気の威圧で意識を失った3人を縄で縛り、早々に着替えてフロントに連絡。暫くしてガタイのいいスタッフが来た。
「お客様!折角のお休みのところ誠に申し訳御座いませんでした。以後警備を強化致します。
お怪我は御座いませんでしたか?」
見た目からは検討もつかないほど丁寧な物言いに困惑。
「怪我はしておりません。
ですが、ここの部屋はできれば移していただきたい。このフロアでお願いできませんか。」
「畏まりました。私はこの者達を海軍に引き渡してきますので、他のスタッフにお願いして参ります。
恐れ入りますが、荷物をお纏めていただけると幸いです。」
「わかりました。よろしく頼みます。」
「本日の無礼誠に申し訳御座いませんでした。」
ガタイのいい男性スタッフは一人で男3人を引きずって立ち去っていった。