第2章 旅医者の女
大分乗り慣れてきて空の散歩を楽しむ。
シャボンディー諸島上空を旋回したり、
急降下、急上昇してみたり。
研修の期間はどこにも行かなかったし、病院の人以外は敵襲を除いて誰ともあってない。
マルコに最後に乗せてもらって空を飛んだのはもう大分前の話。
こんなに風をきって飛ぶのはすごく気持ちがいい。
目の前には大海原と大空。私の真下にはヤルキマングローブの森の緑。
沈む夕日。
シャボン玉の派生して弾ける心地いい音。
さらさらと葉を揺らす風の音。
もう大分飛んだだろう。
下では3人がもう待ちくたびれているはず。
「咲、ゲンゾウさんのところに戻ろう。」
私たちは店の前に戻った。
「試験飛行には随分遅かったじゃないか。
もう、私からいうことはないな。連れていきなさい。」
あっさりゴーサイン。
こうして私の相棒ができた。
「すごいなぁ、ユリちゃん。まだ、咲と会って半日もないじゃないか。」
「思い出したけど、本物の鳥じゃないけど、鳥に乗って空飛んだことあったみたい。」
「ひょっとして、あなた....。」
「エリさんの思った人よ。子供の頃は私の医学の勉強によく付き合ってもらって、その後よく空に連れ出して貰ったわ。
早く会いたいな。
シャンクスも兄上も兄さんたちも皆一緒にいれたらいいのに。」
「あなたって本当にどんな星のもとに生まれて、どう育ったんだか.....。」
エリさんの言葉にモルトさんは何となく察して顔を青くして驚いていた。
ゲンゾウさんは満足げに笑いその状況を見守っていた。
「随分海の大物に可愛がられているようだな。
咲のことで聞きたいことがあればいつでも連絡してきなさい。」
でんでん虫の番号を教えられ、ゲンゾウさんと別れてエリさん、モルトさんとボンチャリでホテル街へと帰った。
宿に着いた頃は日もすっかり落ちて、酒場の灯りが目立っていた。