第2章 旅医者の女
島につくと7日間の自由時間。
母様はバーへ。父様は知り合いの方と二隻分のコーティング作業。
新世界に渡るための買い物はする必要もなく、コーティング作業中は船にも戻れない。
この騒ぎの中、"実家"には帰りづらいと判断し、シャンクス、兄と同じホテルの部屋を予約してから街に出た。
待ち合わせは無法地帯20番グローブ。ボンチャリというシャボン玉でできた乗り物をレンタルして向かう。
今日はディルバリーの人達と買い物。買い物なら普通なら繁華街じゃないかと思ったけど一般人の商人が、こんなところで何の買い物だろう。
20番グローブの入り口にエリさんとモルトさんが待っていた。
「待ってたよ。ユリちゃん。商人がなんでこんなところにって思ったでしょ!」
「えぇ。何を買うつもりなの?」
「あなたの乗り物兼助手よ。ここにあるお店にね、人を乗せて飛ぶ鳥が入荷したらしいの。
貴方に見て欲しいと思って来て貰ったのよ。」
聞けば、ディルバリーカンパニーは世界中に取引先があり、支社も何社もある。
その支社の船にも回ってもらいたいが、船で移動するのでは時間がかかりすぎる。
私には一人で乗りこなせる空飛ぶ乗り物か、高速で移動できる何かが必要ということらしい。
丁度その時、ボルさんの知り合いの船大工兼ボンチャリ職人が"悪魔のみを食べて人を乗せれるようになった鳥"はいらないかと言われたらしい。
鳥種はハヤブサだという。
動物は好きだ。でも、修行や研修、白髭海賊団、赤髪海賊団と移動も滞在時間もペットを飼える状況になかったのが、今までである。
移動しても付いてきてくれるトモダチが出来るとしたら願ってもない話。
途中から嬉しい気持ちが表情に出てたらしく、動物だから相性がある。飼えると決まった訳じゃないと言われてしまった。
それもそうだ。
でも、早くその子に会いたいという気持ちは収まらず、ワクワクする心が足を速く進めた。