第2章 旅医者の女
朝食が終わったころ、皆との話でシャンクスが起きるのを待って船を再びシャボンディー諸島に戻すことになった。
それからコーティングの作業に入る手筈だ。
当の本人が頭を抱えて起きてきたのはお天道様が一番高いところにきた頃。
頭が起きるのを待ってコーティングしようとしてたとクルーの男が言うと、バツが悪そうにすまんと言って、頭をかいていた。
「シャンクス!諸事情によって二日酔いの薬と料理あげるからシャキッとしてね!」
というと、ダルそうにしていた目と体にスイッチが入り、おまえの飯が食えるのかと喜んだ。
療養食だといっても、嬉しそうに待ってるシャンクス。
どれだけシスコン?と思っても内心特別に思ってくれることが嬉しくもあった。
食べやすいようにと薬膳粥にして食べさせると、心配して損したってくらい鱈腹食べて、みんなも驚いていた。
「ユリの飯旨いなぁ!力が湧くぜ!ありがとな。」
親指を立てて向かいにいる私につきつけた。
薬の効果も少し出てきて、頭痛もどうにかなるくらいまで回復。
そのままシャンクスがスイッチが入ったままで出航し、シャボンディー諸島へ再び向かった。
ベンさんが私のところにやって来て、もう立派な医者なんだなって頭を撫でられると、
「ベンさんも大変だね」と労った。
「俺もユリの飯食いたかったぁ」
というみんなのために、魚人島へ向かうときにつくってあげるという約束をすると、酒を飲む前かというような歓喜の声が上がったのだった。
いいな。こういうの。
私がここで彼らのために、やることなすことは喜んでくれる。
ちょっと煩いけど....。
近づいた島は当然だが、海軍の船も海賊船もいつもよりかなり多かった。
「コーティング終わるまではできるだけ暴れるな。
住民もこれ以上は迷惑だろう。単独行動も禁止だ。
必要なものはまとめておけ。」
と告げると、船長室に入っていった。