第2章 旅医者の女
「大事な娘を、使命のあるあなたを、だた海に放り出すようなことはさせない。
でも、行かせないってことじゃないわ。」
そういうと、私を空樽の上に座らせ、そのとなりに母様も座った。
「ボルさん夫妻から貴方を、護衛と船医として欲しいという申し出があったの。
彼らは新世界とも前半の海でも、東西南北の海へ取引先があるし、すべての海を知り尽くす航海士さんもいるわ。
人柄はあなたが見た通りの人よ。
札付きになっても受け付けるって。
辞めるのもいつでも構わないとまで言ってくれているのよ。
沢山暴れて世界を見てきなさい。」
「母様、いつの間に?」
「あなたが眠った後、ボルさん夫妻とレイさんと4人で話したの。」
あぁ、また私は人に恵まれ助けられた。
正直、ある程度の航海術は身に付けていても、この世界の海を渡るには知識が浅すぎると思っていた。
私の終着地点はシャボンディー諸島までだったので、次の行き先が新世界とまでしか聞いていなかったが、次行くのは白髭の父さんの縄張りにある島らしい。
何足る偶然。
私はその話に乗ることにした。
ボルさんが起きてきたのを見つけると早速乗船の意を告げると満面の笑みで握手を求めてきてくれて、私はそれに応じた。
「お世話になります。ボル船長!」
「今まで通りで呼んではくれんかな?
その方がうれしい。」
「わかりました!ボルさん。」
後でボルさんから聞いた話、4人は意気投合して仲良くなり、母様ともお酒などの取引を始めるらしい。
ちゃっかりしてるなと、可愛らしく思った。