第2章 旅医者の女
先日、ヨシタカから、ユリが帰ってくると聞かされた。
ちょうど、行く先が決まっていなかったのもあったので、みんなに話したら満場一致でで迎えに行くことになった。
気が早すぎて着いたのは3日前。
俺たちが来たことで、シャボンディー諸島は俺の首を狙う海賊や海軍、見物人がごった返し、大変な騒ぎだった。
ユリと会うのは実に7年振り。
商船に乗って帰ってきた彼女は、面影はあったものの、服装や化粧で一瞬解らないほど大人の女になっていた。
実際近くで見ていると笑顔も、
仕草もガキの頃のまんまなのに、妙な距離感を感じた。
それは、コイツも大人になって俺の知らない奴等との関係が築けるようになったのが、少しばかり寂しく思うからだろうか?
目の前で呑んでいるうちのクルーはチラチラとユリを見ては鼻の下を伸ばしてやがる。
そんな光景は、7年前と違って、幼子を見て微笑むのとはワケが違う。
ヨシタカもそれに気付いているようで、時々威嚇の視線を返す。
子供の頃のユリも年齢のわりには年相応の可愛いさはあったが、どちらかというと美人な方だという印象。
しかし、大人になればまだ幼さはあるものの、そこら辺の女どころか、あの世界一の美女と名高いボア・ハンコックと並ぶんじゃないかと思うくらいだ。
それに加え、表情も豊かで、物腰も柔らかい。
ユリは、相手に対する思惑に敏感なうえ、ワノ国の体術(合気道のようなもの)も極めているため、襲われても本人同等くらいの男は跳ね退けられる。
コイツは結構強い。3兄妹とも、10億くらい懸賞金が付きそうなくらいだ。(因みにヨシタカは12億ベリーかけられている。)
安心はしているが、だからといって油断もしていない。
さっきから平気な顔をしてハイペースで酒を注ぎ込んでいるユリ。
不用心じゃないかとか、そんなに飲んで大丈夫かと思うより先に俺の方が酒が回ってきた。
情けないなぁ、俺。
「おい、ユリおまえ、酒結構呑めるんだな?」
と、感心して言うと、相手は考え事をしていたのかビクッと肩が揺れた。
すぐに笑顔になり、言い放ったのは、
「あはは!まだ限界知らないのよ?これでも。」
情けないを通り越して笑いが出てきた。