第2章 旅医者の女
「よぉし、みんな揃ったか?今夜は、ユリとの再会と一人前の医者になった祝いと、ディルバリーカンパニーの皆への礼の宴だ!
野郎共!存分に呑みやがれ!
ユリおめでとう!そしておかえり!!」
「おめでとう!おかえりなさい!」
ゴツンゴツンとジョッキのぶつかり合う音が聞こえると、みんなは一斉に飲み始めた。
がやがやと陽気に飲んで談笑する光景も、人数が増えただけで同じもの。
見ているだけでも楽しいのに、横二人のお酒の出来上がりの進行状況を観察するのも実に面白い。
どちらも笑い上戸になるのだが、父様はそこからは進行せず、潰れるのはいつもシャンクスだ。
酒の席。こちらの輪での話題は、
私が研修医として働いているときの話、
行き帰りの航海での話をいろいろ聞かれて、
シャンクス達の冒険の話、
立ち寄った島での思い出話
ボルさんたちの仕事の話
仕事やプライベートでの航海の話
シャンクスがだいたい出来上がった頃
「そういやぁ、ルフィーはどうしてるかなぁ?」
から始まった、ゴア王国フーシャ村での思い出話。
そう。7年前、兄上を迎えに来たシャンクスは帽子も腕もあった。翌年に発行された手配書には大切だと言っていた帽子もなく、聞く話では腕も失っていて、私心配して泣いたんだっけ?
そして聞かされた話、ロジャーから貰った宝物の帽子と腕一本をその少年に託してきたという。
その少年の話をする時は、私たち兄妹の話をするときのように楽しそうに笑って話していた。
そこまで気に入った当時7歳の男の子
いつか彼に会うんだろうか。
もし、会うことがあるなら、隣にいるこの男の事を語り合ってみたい。
そう思った。
「おい、ユリおまえ、酒結構呑めるんだな?」
おっとビックリ。
考えごとしてたら、ふとシャンクスが話しかけてきた。
「あはは!まだ限界知らないのよ?これでも。」
そう私、話しているうちにかれこれ一升は呑んだはず。
頬も赤くならず、気性も気分も変わらず。
最近お酒デビューしたばかりの私。
結構ザルなことに驚いていた。
うらやましいなと結構な力でバシバシ背中を叩いてきて、痛い!と怒って立ち上がれば、豪快に笑い出した。
この酔っぱらいめ!