第2章 旅医者の女
船が着いたのは、空が薄暗くなってきてからだったのに、船がつくと同時に船から飛び降りた。
結構な高さがあったのでディルバリー号の皆は驚いていたけどお構い無し。
降りた先では、シャンクスと兄上、副船長のベンさんが待っていてくれていた。
「シャンクス、兄上、ベンさん、久しぶりね!
3人とも一段とカッコ良くなったのね!」
「おー!わかるか?見る目あるじゃないか!
ユリも、前会ったときは幼かったのに色っぽくなっちまったな!」
なんて、言ってくるシャンクスは、三十路を越えても少年らしい笑顔が変わっていないことにほっとした。
レッドフォース号からは、野次馬さんが集まってきていて、そのうちの何人かは鼻の下が伸びていた。
「紹介するね。
ここまで研修終わってから今まで船に乗せて貰ってたんだけど.....」
後ろを振り返ると、ボルさんと副社長でボルの奥さんのエリさんがを筆頭に酒樽を担いだ社員が並んでいた。樽は6つ。結構な量だ。
「ディルバリーカンパニーのボルと申します!ユリさんにはすっかりお世話になってしまって...。
で、お礼なんですが、うちの目利きが選んだ上物です。これらのお酒受け取ってはくれませんか?」
「そりゃぁ、有り難いが、ボルさんも商売人だろ?
そんなにはいくらなんでも受け取りにくいんだが...。」
「なに、これから売り出すサンプル品です。客人用に余分に仕入れてるんで気になさらず!
それに、赤髪さんは酒豪で酒の味がわかると聞いてます!
そんな方に是非呑んでいただきたい!」
「わかった。有りがたく戴くとしよう。だたし、もう夕暮れだ!ボルさん達が良ければ一緒に飲もうじゃないか!
大事なこいつを送って貰ったんだ。俺達にも礼をさせてくれ!」
「いいんですか?!」
「あぁ、社員達は何人だ?歓迎させてくれ!
野郎共!宴の準備を!」
おぉぉぉ!雄叫びをあげて、一斉に船内へ入り込んだ海賊団。
ベンさんが島が自分達が来たことで大騒ぎで海軍も多いからと場所を変えて沖に出た。
最初は恐怖で顔が固まっていた社員たちも、宴と聞いて安堵したのか、胸を撫で下ろしていた。