第2章 旅医者の女
日も傾き始めた頃ようやく、島の影が見えてきたが、シャボンディー諸島は治安の悪い所として分類されている島。
どんなに強かろうと女の子を夜に出歩かせたくないとのボルさん。
有りがたくもう一泊することにした。
それが決まった頃、島の方がやけに賑やかな気がして、注意深く目を凝らした。
「ボル船長!どうやら、赤髪海賊団"レッドフォース号が停泊してるようです。
どこに船をつけましょう?」
見張りをしていた、航海士モルトの声に船員一同がざわつき出したが、ボルはやっぱり船長。
大物海賊の性分もご存じで、
「いつものところでいい。彼らはこっちから仕掛けなきゃ危害は加えないさ!
それにこの船は商船だ。むしろ近いところに停めた方が安全だろう。」
そんな話を聞いていたユリは、モルトから双眼鏡を引ったくって、その先を覗いた。
「シャンクス!!?」
新世界の海賊しかも"四皇"がこちらの海に来るのは有り得ないこと。
赤髪海賊団と聞いて物珍しげに他の船員も集まるなか
嬉しそうな彼女を見て
双眼鏡を引ったくられたモルトが聞いてきた。
「え!!あんた赤髪とどういう??」
ユリは笑顔で答える。
「ふふっ。私の兄貴分よ!実の兄も乗ってるわ!」
「「え"ーーーーー!!」」
これにはボルさんもモルトも驚いたようで、船員と共に声をあげて驚いていた。
あれ?言ってなかったっけ?と首をかしげていると聞いてねぇよ!!とこちらも見事にハモったツッコミをお見舞いされたのは言うまでもない。
更に近づくと船にいる人影もハッキリ解るようになってきて、ユリか大きく手を振ると、赤髪海賊団の方の見張りが気づいて、慌てて見張り台から降りていくのが見えた。
一方、彼女の後ろの乗組員は、目の前の光景と四皇という肩書きが目の前にいる現実に石化したように固まって呆然と見ていた。
「おーい!ユリ!!」
シャンクスと兄上が甲板に出てきて私に手を振ってくれる。
研修に行くときは父様(レイリー)、母様(シャクヤク)、ユキだけだったので、シャンクスと兄上に会うのは、兄上がシャンクスの船に乗った7年前以来。
7年も違えば10代なら見た目が違ってくるのに、こんなに離れていて私だってわかって貰っていたことが嬉しかった。