第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
「でわ、我らが愛した子供達を....この国の希望を頼む。
これは手紙じゃ。目を覚ましたら悲しむであろう。その時に読んでやってほしい。」
「わかったよい。義久公もくれぐれも無事でなぃ。」
「あぁ。恩にきる。」
そういうと二人は子供らを連れ闇に消えた。
「さらばじゃ。ーーーーー。」
このとき嫡男 義孝7つ、長女 ユリ3つ、次女 雪2つ
彼ら兄妹には幼すぎて過酷であったろう。
どうか許してほしい。
そして、大きく逞しくなって、主君の跡取り桃の助様をお支えし、ワノ国を.....九里を取り戻しておくれ。
そなたらの父になれたこと一生の誇りだ。
知らず知らずのうち
その頬を涙が一筋流れていた。
.
.
青い鳥に扮した男"マルコ"俺は見失わないようについていく。
ついていっていると言っても、俺は陸、マルコは空。
小さな青い点を見ながら常人では見えない速度を無音かつ気配を消して走っている。
家の上、林の中、池や川は飛び越えて。
岩場にたどり着くと湾岸に大きな鯨の船。
それを目掛けて空からマルコが急降下してくる。
なるほど。ここなら気付かれまい。
勢いをつけて俺も船に乗り込んだ。
「ここがおまえさんの船かい?いい船じゃないか」
「ありがとよい。」
「おい!誰かこのチビ運ぶの手伝ってくれ。親父のところに行く。」
彼の仲間であろう男が姫君を大事そうに抱えた。
海賊とはもっと手荒に扱うもの思っていたが予想外だ。
安心した。
「伊助といったか?ついてこい。」
「あいわかった。」
言葉は悪いが気の良い奴等だ。
俺は船長室に通され見たこともない巨体の男を目にした。
彼がおでん様を認められた海の怪物。
「親父、連れてきたよい。まだよく眠っている。」
「あぁ、ご苦労だったなァ。マルコ。」
見ただけでも圧倒されるのに、話し出すとさらに威圧感が増して凄い。
でも、彼には芯があり義がある。
義久様が好きになるに違いない。
そして、おでん様が選んだ海の男の一人だ。