第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
「この国は、おでん様が生前、精魂込めて築きあげた土地。
今はもう、火に飲まれ亡きものになってしまったわ。
オロチのことです。私腹を肥やすためにこの国が欲しいだけのはず。
よって国の中心部以外は全て荒廃するでしょう。」
部屋の中にいた者は、これまでのことを、おでん様を思い出して涙を浮かべたり、啜り泣きながらおトキ様の話に耳を傾けた。
「今、滅びようとしている光月家では反撃が出来ないでしょう。
殿も、鍛え上げた同士達でも敵わなかった。
.........だけど、私は諦めてないわ。」
そう言って、おトキ様が掌を上に広げると、淡い光が浮かび上がった。
そこにいたものは皆、不思議そうにそれを見た。
「ただ、ただこれからも、どんな事があろうと
人は決して過去には戻れないけれど.......
未来には行けるのよ。近い未来は変えられずとも、未来は遠いほど変えられるの!!
私は、この不思議な"トキトキ"の能力で未来へ未来へと旅をして、遂に辿り着いたの.......旅の終着点に。」
「........!! おでん様でございますね。」
「ーーーーーーだから、私はここに残るわ。
先程来た6人とモモの助は20年後の未来へ飛ばします。そこで同士を集い、外からの強者も集め、その時こそ、オロチ、カイドウの手から、ワノ国、そして九里を取り戻すのです。」
「おトキ様。私は御供させていただきます。子供を送り届け、義久を亡くした今、思い残すことは御座いませぬ。」
おトキ様は、そうかと優しく微笑まれた。
「トキ様!桜様!もし真に未来へ飛んだならば、我ら必ずや、おでん様の想いを遂げ、
オロチを!!カイドウを!!討ち果たし、きっとこの国を「開国」してみせまする!!!」
おトキ様は桜と共に微笑んだ。
おトキ様の能力による光はどんどん大きくなっていく。