第6章 死者の声
まだ使い慣れねぇ炎の能力が仇となった。
漸くこの海の難所を突破できる船を、新しく出会った仲間という相棒と開発して、島を出た瞬間は晴れだった。
だが、何が天気の機嫌を損ねたか、沖に出てから雷がいきなり落ちては大嵐に見舞われた。
必死に帆に捕まりながら、”ストライカー”を操るも、荒れ狂う暴風に叩き付ける大粒の雨負けて、海へ落ちた。
やべぇ!力が抜ける!と全身が凍り付くのと何かの強い衝撃から記憶がぷっつりと切れた。
そこから夢を見た。
何もねぇところで、ひたすら暖かくて優しい何かに包まれていて、目を開けたくねぇほどに、柔らかい光が照らしてくる。
初めての感覚だ。
だけど、理性が効かねぇほどに心地よいここから離れたくない気さえする。
だめだ。
まだ、俺は何も始まっちゃいねぇ。
”アイツ”を超えるんだろうが!
散々、俺を苦しめてきた”アイツ”を超えるんだろうが!