第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
足より息切れしてきて、呼吸を調えるため木の葉が生い茂る上の方へ逃げ込んだ。
「ヨシタカ。賢いが敵は休ませてはくれないぞ!」
しまった!
木登りはできるが、木の上で戦うことは想定すらしていなかった。
竹刀を構えればバランスが取れなくなる。
竹刀で叩かれてもこの高さじゃ.....!
「ん?」
コツっと音がしたと思えば、師匠に石が当たったらしい。
今降りないとと下を向けば、ユリの気配があった。
ユリがやったのか?
竹刀しか持っていないとなると、竹刀で石を打ち飛ばしたか?
「ほぅ。気を抜きすぎていたようだ。
君たちが来てから驚かされることばかりだ。実に楽しいじゃないか!」
「ごめんなさいまし!おししょうさま!」
「はははは。可愛い娘の悪戯じゃないか。可愛いものだ!」
師匠は楽しそうだ。
我が妹を娘って言ってくれるではないか。迎えの挨拶以来初めて聞いた。
はやく世間で"冥王の子息"と言われて恥じぬ力をつけたい。
師匠はユリの前に降り立ち、竹刀を振り下ろした。
竹刀で受けたがやはり幼女の力。簡単に弾かれる。
「受けられるだけでも、我が妹ながら化け物だな。」
師匠の後に木を降り立ち、また走り出した。
別の方向に走っていた二人は今や同じところで二人と対峙している。
逃げる、交わす、避ける。
基本的に自己防衛での対応である。
シャンクスも師匠も戦闘が好きなのか、次々にこちら側が見せる仰天技を楽しんでるか楽しそうだ。
期待されているって解って嬉しい。
おでん様に所縁のある人だから尚更だ。