第6章 死者の声
聞けば、人の目をしっかり見てしまうと相手の過去がなだれ込むように見える性質らしい。
言えば、式神屋は俺の過去を勝手に知って勝手に涙を流したということだ。
その事実を俺に告げて、勝手に見えてしまったことを式神屋が謝ってきた。だが、疑って怪しんで見たのはこっちだ。知らねぇで気分が悪くなるような物を見せたことをこっちが詫びるも、式神屋は首を振ってまた涙を流した。
そして、自分が正直に自分の思う事や気持ち、情報を偽らないのは、相手に対してフェアじゃなからという。
そこから、コイツを信用してもいいと思い、今回、コイツが海軍に呼び出されたこととドフラミンゴと会ったことを知り、彼女が前半の海を越えてココに来ると聞きつけて頼りに来た。
前に会った時、式紙屋に仲間になってくれと頼んだ。
式神屋の情報収集能力、戦闘能力を知れば当然のことであり、尚且つ、信頼するに値する人格者ともなればそれ以上の人材はいねェ。
返事は、否だった。それも式神屋からしては当然のことで、「格上と組めば船長として立場がないでしょ」と言われる有様。
しかも、挙げ句の果てには海賊にも革命軍にも海軍にも賞金稼ぎにもなる気がないとも言っていた。
じゃぁ何になると聞けば
冒険家として世界を回ると言った。
ぶっとんだ奴だと思った。
同時に、この女の思考回路や生き方にも興味を持った。
俺の部下となってついていきたいと言ってきたアイツ等と違って、自分から誰かに興味を持つことすら、
…………全てを失ったあの日以来初めてだった。