第6章 死者の声
ローグタウン。
ここは、父様とおでん様の盟友であり海賊王として名高いゴール・D・ロジャーが生まれ処刑された場所。
わたしは咲降り立ち彼を肩に乗せて街へ出た。花屋で赤いハイビスカスの花束を買い処刑台へ向かった。
ここはあの処刑の日以来の観光名所。海賊王を讃える者と扱き下ろす者両方いるのである。
だからこそと言うべきか処刑台へと続くメインストリートは喧嘩の声も怒声もよく聞かれる。
汚い男のナンパを何度蹴散らしたことか。
兄さんたちと比べるにも失礼すぎる程のクズ男ばかり。
仮面をはずさないままなのにわたしは目立つらしい。
正体は解らなくともこの魂が誰彼問わず引き寄せるのだろうか。
全く迷惑な話だ。
まぁ、いい人にも恵まれているのもこの魂があるおかげなんだけども。
歩いている間に処刑台についた。
太陽が処刑台ごと照らして、反射する光が眩しい。
膝を折り処刑台の土台に花束を置く。
両手を合わせてロジャーに父様とシャンクスの報告をした。
少し強めの風が鉄塔の隙間を過ぎ去る音が人の笑い声に聞こえる。
こうしている間にわたしを通りすぎていく人の視線が指すのを感じた。
それもそう。ここに花なんて置いていく人なんて稀だから。
どれだけそうしていただろう。
ふと後ろに誰かが立った。
「ノースブルーの男がこの町に何の用かしら?
またしつこく勧誘しに来たの?
"トラファルガー・ロー"」
長い太刀を肩にかける牛柄帽子の男はフッっと白い歯を見せ口角を上げた。
「あぁ。久しぶりだな。式紙屋。今日は別件だ。正直諦めたわけじゃねぇが今回は"勧誘"じゃねェ。」
別件?
逆光と深く被った帽子でよく顔が見えない分、この人の思惑がよく解らなかった。