第5章 赤い腕章
エデルは海図とメモ用紙の白い紙を広げて、話を始めた。
聞く話はどれも、 想定していたものより ずっと深刻で根深く、ユリの額から 冷や汗がにじみ出た。
何よりも衝撃的だったのが、 ドフラミンゴの取引相手がカイドウであること、彼らの武器密輸の ほとんど全ての商品がワノ国で作られているということである。
そして、あろうことか 世界政府さえも、裏でドフラミンゴと通じているという。
「ドフラミンゴ.....カイドウ........世界政府........」
デスクの上に握りしめた拳に力が入り、手のひらに爪を突き立てる。
怒りが強すぎてユリのまわり空気が揺らいだ。
「四皇に立ち向かうのならば、まだまだ力はつけなければならない。
ユリは我社でも郡を抜いて強いが、それでも赤髪には及ばないのだろう。
そなたの兄にさえも。」
エデルの言うことはごもっともだ。だけど悔しい。
力を手に入れてもまだ充分に操れないようでは、鷹の目に1本を死ぬ気で奪いに行ってもかすり傷しか付けれぬようでは勝てやしない。
赤鞘の侍だけではダメなのだ。
後ろに世界政府もいるようではあの国を縛るものは外せない。
もっと強大な力を持つ者たちと手を携えて倒しに行かなければどんなに強靭になろうとも1人では何も出来ない。
「そうよね。エデルの言うとおり。あと5年でわたしの力がどれほど強くなるかなんてわかんない。わたしだけじゃ無理なのは分かってる。
そのためにもいろんな海を渡って、国をまわっていろんな猛者たちと知り合って手を組めるようにしなきゃ。」
最新の新聞の横にある手配書。4つの海からはそれぞれ新勢力が名乗りを上げている。
産声を上げた海賊団も山ほどいる。それを食い止めようとする海軍の動きも活発だ。
ここ数年で見違えるように賑やかさを増した海を見渡しても、時代が大きく変わる前兆であるとわかる程。
「できるだけ、力になろう。そこで共に戦うことは出来ないが、そなたの本願が成就するための情報提供や鍛錬の相手くらいならいくらでも付き合ってやる。」
ユリの心が少しでも軽くなるようにと、言葉をかけるエデルは、彼女に対する自分の役割を再認識していた。
そして、次なる任務の内容。イーストブルーの任務終了後の話になった。