第5章 赤い腕章
会議中、私はふと、ユリの白衣の下に纏う衣装に目が行った。
次の任務でユリと行動を共にすることがあれば連れていきたいと思っていた闘技服の街にしかないオーダーメイドブランドのチューブトップ。
街に数ある闘技服でもあの店はディルバリーでは私たち兄弟しか利用おらず紹介でしかはじめての客を受け入れない。
なのになぜ?
そして凛々しいだけじゃない。どこか雰囲気が女。
思い返せば再会を喜び包容を交わした時、僅だったが男物の香水の匂いがした。
彼女はワノ国のアロマの香りが好きなようでいつもならその香りを感じた
自然の香りより強い香水の匂いを感じたことがない。
でも、彼女から感じる気は穏やかで、かつ憂いを帯びている。
彼女の事だ。
仕事に私情を持ち込まないよう悟られまいとしているのだろう。
19歳という歳だが、沢山の大人との関わり合いで大人びた性格だ。
しかし、無理をするようならいくらでも支えたいとすら思っている。
彼女が笑っていることがディルバリーの社運に関わるといってもおかしくない現状だ。
なにより、ざわざわするこの心が、心の移ろいに敏感な彼女に伝わってはいけない。
一通りの状況説明と今後の動きを確認して、幹部会議は終了。
社長と秘書には部屋を出ていってもらった。
ここからは、ユリが海軍本部に召集に赴いてた時に要求されていたドフラミンゴと政府の関係を彼女に説明しなければならない。
彼女はミゼルが入手した情報にどう反応するだろうか。
内容はかなり根深いものでどす黒く、"あの国"も大きく絡んでいた。
「エデル。わたしがここにいるのは、前に頼んでた情報の件よね?」
「あぁ。そうだ。
ドフラミンゴと海軍、政府の取引、そしてそれと関連してワノ国の最新情報も入ってきた。」
彼女はこちらに疑問符を浮かべた表情を向けた。