第5章 赤い腕章
「そして可能性のある進路は、彼らの故郷ウェストブルー、もしくは最弱の海といわれるイーストブルーで、ほぼ間違いはないだろう。
しかし、ウェストブルーはもう海軍が包囲網を作り密かに待機している。
それに気づけば、イーストブルーへ進行を定め、そこを荒らすことで名を再び轟かせようという魂胆だと見ている。」
「イーストブルーでは海軍が動いていないのはどうして?」
「イーストブルーの最奥地で発生した巨大サイクロンなどの異常気象が多発している。
被害拡大で人員が割けそうにないらしい。
今回のユリの任務もそのためだ。
海賊被害のための人員は、先にロイヤード・セナを派遣した。」
ロイヤード・セナもルケドニアの生き残りの一人で戦闘能力は高いものの、日光が苦手なアルビノの体質で、本部のドクターをしていた。
「セナは海では危険じゃないの?」
「セナは悪魔の実を食して、日光を克服した。」
「じゃぁ、時間にとらわれず外にいられるのね!」
以前から戦闘能力が高いにもかかわらず、戦闘要員になれないことを気にしていた彼女を思いだし心から喜んだ。
「そういうことだ。ユリ一人だけでは島が襲われた場合、広範囲を防御するのは不可能と判断した。
異常気象によって、イーストブルーの戦闘要員が不足しているのも事実。そして、グランドラインを行き交う海賊どもの力もここ数年強くなっている。
これ以上、他所に派遣するには危険すぎるという判断だ。」
「エデル。了解しました。異論はないわ。
あとは、彼らの動向を見ながら、わたしが適所で判断します。
わたしも、グランドラインを逆走してイーストブルーに入れば、ミゼルからの情報と照らし合わせて動くことができるでしょう。
咲の飛行は通常でも船より速い。
何かあればすぐに駆けつけられる。
ミゼルに緊急事態があれば直接わたしに連絡をちょうだいとミゼルに伝えておいてくれる?これはわたしとミゼル個人の問題ではなく、ディルバリー社員と、会社を支えてくれる国のための大事なことよ。」
「あぁ。あいつにもそう伝えておく。」
依然として全ての連絡がエデル経由なことを誰もよしとはしておらず、しかしミゼルも「海賊女に話すことはない」と頑なにその態度を変えなかったのだ。