第5章 赤い腕章
シッケアールから飛び立って数時間後
新世界の最初の島
ルルシア王国本島ルルシア島
その島にある総本部に戻れば、秘書のアンナを筆頭に、数人の本部役員が出迎えてくれた。
「「隊長!お帰りなさいませ!」」
「出迎えなんて……。でも、ありがとう。ボルさんとエデルは?」
「執務室にいらっしゃいます。」
「アンナここ一ヶ月あったことと知っておくべきこと教えて。」
「コーサノストラ海賊団との抗争と、わが社の新事業で海賊被害孤児の養護施設設立が決まりました。
その件でエデル副隊長からのご説明があるそうで……。
それと、ワノ国の最新情報を入手したとの話があります。それもエデル副隊長の方から説明があると聞いております。」
「わかったわ。早速エデルに会いましょう。」
「はい。」
わたしの後ろをついてくるこちらの女性は、わたしが隊長職に就いて割り当てられた秘書、フェルナンデス・アンナ。
赤髪に赤い瞳で彼女もルケドニアからの逃亡者。勿論戦闘力も中々のもの。エデルに次いで手合わせや鍛練をすることもある。
元気なこの子はいつも笑顔でいて活力をくれる。
「あれ?
隊長雰囲気変わりましたね。何だか更に美しさに磨きがかかって色っぽくなった気が…」
この人は、わたしのちょっとの変化にすぐ気づく。
彼女の仕事は、わたしのスケジュール管理と、各支社の幹部とのコンタクト。時には、わたしと手合わせの相手もする。
エデルと出張の際は、互いの秘書が本部の仕事を代理でするため、連携と意志疎通、相互理解と信頼が最も強い人。
だからこそ業務外は親友のような関係で居心地がいい。
そう言う関係から、彼女にはなにも隠せないのだ。
「そう?」
「幸せそうな、だけど切ない感じが伝わります。」
「また、その話しは今夜の二人きりのお酒の時間にね?」
「ふふ。解りました。副隊長が、隊長の帰りを待ち望んでいらっしゃいましたよ。
今回のご活躍のお話をされたいのでしょう。
隊長に凄く感謝されていました。」
「そう。それなら急いでいかなきゃね。
わたしもエデルの話ききたいわ。」
執務室までの道のりの会話は、久しぶりの友人に会えたように楽しく尽きることはなかった。