第5章 赤い腕章
小鳥のさえずりと、うっすらと光を伴う日差しに意識が浮上する。
暖かい手が髪を撫でてるのが心地よくて、その手に手を重ねた。
「起きたか。」
落ち着いた声にハッとして目を見開くと自分のからだにはローブが着せられ真っ白な布団の中。
え、待って、
何でわたしこの格好?なんで布団来てるの?
って
「えっ!えーっと………」
状況を察して、金魚みたいに口をパクパクさせ
顔に集まる熱。
自分がとんでもない顔になってるんじゃないかと察して顔を手で覆った。
クツクツと声を押さえぎみに楽しそうに笑うミホーク様は髪を撫でる手でわたしの手をどけて頬にあてた。
「主が果てた後連れてきた。ここは俺の寝室だ。」
いや、そっちじゃないんですけど……………って
「ミ………ミホーク様の?」
「ユリの部屋は鍵を閉めてあっただろう。他にどこへ連れて寝かせるというのだ?」
い、いやぁ、そうなんだけども……。
状況がわかってくると同時に昨日のことを一気に思い出して羞恥心で顔が見れずモゾモゾと布団に隠れた。
「昨夜とは随分違うな。顔を見せろ。」
あっけなく剥ぎ取られた布団で真っ赤に染まった顔がさらされると、見たことがないような暖かい表情に思わず胸が高鳴る。
こんなに優しい顔するんだ。
昨日のことで何かが吹っ切れたように、わたしにもっと優しいし甘すぎる。
この人の特別な人になり得たことが手に取るように解るほど。
「こういうのも悪くないな。」
そう呟くミホーク様の胸にすがるように頬を寄せると、規則正しい心音を感じた。
頭を撫でるのが好きなの解ってるのか、癖なのか………
しばらくそのまま穏やかに時間だけが過ぎていった。
外は暗いながらも朝日が顔を出そうとして穏やかな光を放っていた。