第5章 赤い腕章
その後も数時間、ユリが正気を保てる限界まで妖力を引き出して剣を振るい、
ミホークもそれに応えた。
2人の斬撃は光を伴い、その様は地上に雷雲があるかのよう。
湿度に戦いの熱も加わった熱風が戦いの激しさを物語る。
金属音、覇気の衝突に起きる爆発音、
だけどそこに止められる第三者はいない。
ユリはいくら飛ばされてもなぎ倒されても、後ろに引こうがすぐに体制を立て直してまた走り出し立ち向かう。
そして痛みを堪える様子もなく次々と剣技を繰り出す。
隙は見せない、弱さも見せない。何度も立ち上がる様子は相手に恐怖心を抱かせる。
そして気迫だけに止まらず攻撃の重さも、スピードも、柔剛の使い分けて、戦う様も剣舞の様。
一太刀で氷山や、巨大な岩をも粉砕するミホークの剣も
千里眼と共に相当な手練れでも恐怖で動きを封じれるほどのもの
勿論、今、ユリに向ける視線も同等なもの。
双刀が繰り成す連続技に一本の剣ならではどうしても出来てしまうわずかな隙を右に構える氷傀がすると入る。
その剣の切っ先がミホークの頬から耳元の側を冷気を伴って過ぎた。
僅に両者の口角が上がり、ミホークが氷傀を払い除ける力を見方に後ろに回るも、それと同時に振り向き、黒刀に攻撃を妨げられる。
尚も激しい二人の剣舞が光を伴う斬撃と共に目にも止まらぬ速さで繰り成される。
ガンと轟音をたてて弾かれた剣で間合いを取り直し再び走り出す。
両者再び剣の衝突が近づくと、剣を前方に構え再加速する
その瞬間
ガチガチという音と共にユリの足元を何かが掬った。