第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
その夜、竜宮城にて白髭海賊団の歓迎の宴が開かれ、リュウグウ王国国王ネプチューン、王女オトヒメ、王子のフカボシ、リュウボシ、マンボシを紹介された。
王子は同じくらいの年頃の人間は初めてのようで、我々に興味を持ち、話しているうちに意気投合。
子供6人で輪になって食事を共にした。
オトヒメ様は我々の境遇を親父から聞いたのか、励ましの言葉を戴いたり凄く優しく接してくださる。
そのお腹の中には子供がいるという。
遊び疲れてそろそろ眠くなってきた頃、サッチが迎えに来てくれてモビーに帰り入浴を済ませ眠った。
頭の中は、海を制した海賊団の副船長、我々の師匠第二の父になる男に会うことでいっぱいで、時が過ぎるのが早く感じた。
そして、ついにその日。
モビーディック号の横に着けた小型船が碇を下ろし船影から二人の影が降り立った。
中年の男女が二人。威厳が凄い。
近寄ってくる度に強さが犇々(ヒシヒシ)と伝わってくる。
男の方が一歩出て親父と固く握手を交わす。
その手を離し、我々に体を向けた。
「わたしが君たちの主君と旅をした者だ。
シルバーズ・レイリー
わたしが本日を持って紅條義久に代わって
君たちの第二の父となり、師となろう。」
差し出された手をしっかり握った。
「紅條 義孝 紅條 ユリ 紅條 雪。
唯今よりシルバーズ・レイリー様を
育ての父とし、師とし、
精一杯生きて参りまする。
何卒、よろしく申し上げまする!」
我々3人深々と頭を下げた。
それからは、シルバーズの姓を名乗り
シルバーズ・リドル・ヨシタカ
シルバーズ・リドル・ユリ
シルバーズ・リドル・ユキ
となった。