第5章 赤い腕章
_____________頼ることと、責任転嫁は別物だ。
俺が言うのもだが、
頼ることは強くなることにも、周りを信頼することにも直結する。
もっと周りを頼り、自由に生きろ。_________________
こういうところだよね。
ミホーク様の仰ること。
「わかりました。エデルに繋いでください。伝えたいことがあります。」
『わかった。くれぐれも無理はしてくれるなよ?
そう言っても、君は頑張ってしまうんだがな。』
「はい。仕事に差し支えない程度にします。」
『そうか。じゃぁ、待ってなさい。』
内線で繋ごうとしているカチャカチャという操作音が聞こえた後エデルの声がした。
『どうした。』
お兄さんらしい優しい声。このところ自己犠牲に走りぎみだったわたしを心配して先回りしていろんな事で助けてくれた。
「社長から聞いたの。今、コーサノストラ海賊団対策の指揮を執ってくれてるのよね?」
『あぁ。ユリが教えてくれたようにどうにか動かせてる。
其方が手合わせしてくれた分、わたしは強くなれたのだ。
其方の負担が大きくならないようにしていく。
だから、安心してくれ。』
「有難うエデル。それに今までわたしだけで何もかも背負って、あなたに任せるってことをしなくてごめんなさい。
信じてエデルに任せます。だからわたしの留守中、護衛官の安全、それとディルバリーの社員の事、お願いします。
もう一回り成長して戻ってきます。」
『フッ。おおよそ検討はついてたが、また修行に出掛けたか。
体に気を付けろ。それしか言わない。』
「有難う。エデルも、怪我しないで。」
『あぁ。』
受話器を置いた後、自分を事を案じてくれる人の存在に、その大きさに改めて気づいたの。
だから、信じて任せてみようと思った。
頼ることと、責任転嫁は違う。
だから、祈る気持ちと信じる気持ちで彼らがいる方角の空を見つめた。