第5章 赤い腕章
剣は心の鏡なんて古くからそう言われてる。
父様からもそう教えていただいて、体や技術と一緒に心も鍛えてきたはずだった。
海を出てからというもの、ディルバリーに入ってからがむしゃらに仕事をこなし実績をあげる事はなんなく出来たのに、
みんなに怪我させちゃいけない
赤髪海賊団、白髭海賊団の旗もジョリーロジャーもわたしのお守りだったのに、気付けば彼らの恥にならないようにと他人の目ばかり気にしてた。
自分を見失ってたんだ。
わたし。
さっきミホーク様に地面に張りつけられた時、彼の代名詞である鷹の目に全部見透かされてるようで、
真剣で突き刺すような鋭い視線に圧倒された。
それに、本気でわたしに剣を剣の心を叩き込もうと思ってくださっているのが伝わった。
まだ、ミホーク様に教えていただいた初日だっていうのに、太刀裁きを見ただけで人の心を見抜いた。
しっかり握られた腕に感じた、剣士なら誰にでもある刀ダコがこの人のこれまでの戦いの道の険しさ深さを物語っているようだった。
強い者にしか黒刀を抜くことはないし、
弟子なんてとる人じゃない
でも、こうやって教えようとしてくれるのも、真剣に向き合ってくださるのも
どんなに感謝して頭を地につけても涙が出でしまうほど光栄なこと。
ミホーク様にとって
白菊様の事は知ってて当然。
全盛期の噂を聞けば彼女は悪魔の実を宿したとされる刀剣ではあったものの世界屈指の剣士だったはず。
もし、彼女と同じ力を持つわたしが
あそこまでなれると見込んでくださるとしたら、
是非ともそこにかけ上がりたい。
背を向けて前を歩く我が師を見ながら、約束の日までにそれくらいは強くなると誓った。