第5章 赤い腕章
赤髪がユリに惹かれ、俺に釘を指すと言った事が今なら解るような気もする。
前に赤髪、そしてヨシタカが言ってたな。
ユリは故郷を取り戻すため、強くなるために海へ出たと。
海の女神と血縁関係があればワノ国の生まれのはず。
そして、それなりの家柄故に、幼き頃に海へ出されたというならば辻褄が合う。
強さを求め執着することも、責任感が強く周りを大事にするのも、その出来事と事実があれば納得がいく。
幼い頃から重いものを背負い、これまで生きてきたのだろう。
でもそれだけでは、この強さへの執着も、無我な振る舞いも、戦いに重きを置くことも出来はしない。
降りかかる太刀を払い除けながら問う
「其方の口から聞きたい!
強さの先に何を見ている!」
「兄妹共に故郷を取り戻し!
父、母、主君の無念を果たし!
新しい主君と共に民を守るためにございます!」
「それより他にあろう!なぜそこまで強さを強く求める!己を省みない!」
「……………!!!!」
剣が乱れた。
本来はそれくらいで、周りと大事に守ろうとする。
そんな気の優しいやつは大抵人生の早いうちに自分を追い込みすぎる。
要するに
自分を追い詰めるものに
気付いていないのか、心当たりがあり動揺してるのか…
わずかな隙で黒刀をユリの顔と肩の間の地に突き刺し、肩と腕をを己の手で押さえ込んだ。
腕を押さえた反動で、ユリが持っていた刀が音をたてて離れた。
「答えてみよ」
ユリは目を見開いたまま俺を見て、大きく肩を上下させ息を切らしている。
押さえた腕からはドクドク血液の流れを感じ
目は完全に動揺の様子を見せていた。
「わ…わたし…。」
まだ若い。
己の弱いところに無理やり蓋をして見ることがなかったのだろう。
「まだお前は若い。
そして優しいからこそ周りに過度に気を配る。
その歳でいろんなモノを背負い、
大きく考え
プレッシャーになっているのではないか?」
大きく見開かれた目は赤みを帯びてきた。