第5章 赤い腕章
しかしながら、この女には義兄としたう赤髪も、白髭海賊団にも実兄も世界で名を挙げた男たちばかりだ。
仮にも男女。男一人だとしても海賊で自分よりも力が強い男に単身で乗り込むという行為は女にしては無謀すぎだ。
そんなリスクはこの女も解らないはずがない。
だから、聞き返したのに
「剣との向き合い方と生き様に興味引かれます。
それに、是非とも世界最強の剣術をこの目で見て、この肌で感じたいのです。
そして、まだまだわたしは強くなりたいのです。」
そこまで言われて断ることは出来なかった。
修行に付き合える期間は1ヶ月。
ならばと、それまで俺の居住地での修行を提案した。
この女の周囲は、胸元にあしらわれたペンダントから見るにこの女を大事にしている。
傷つけるつもりは全くない。
だが、邪魔が入る事はこの女も嫌であろうとの判断。
それを除いても、この女と剣を交えるならば広大な無人島が必須。
全ての条件が揃うのはどのみちそこしかないのだ。
「有難うございます!
家事など家政婦がやることは得意ですし、医術も提供できます。
そういう類いは何でもいたします。
それくらいしか引き換えるものがありませんが、よろしくお願い致します。」
そんなのは正直どうでも良い。
危険を犯してまで来るというだけで充分だ。
傷つけるつもりは全くないが。
少し表情が強ばってるのはそういうことが解ってでも諦めきれないところがあるのだろう。
なればこそ、
「充分だ。我に学ぶところがあれば全て学び尽くせ。
リドル・ユリ。
オマエの強さを欲する心の先の未来を鮮烈に思い描き
俺に全てをぶつけよ。
手加減はなしだ。」
早くこの女の力量を知りたい。
剣を交えたい。
この女への期待から自然に笑みが溢れる。
「有難うございます。お願いします!」
幸い今、奇跡的に周囲に人の気配がない。
今のうちに脱出しようと女を腹から抱え、女の"連れ"と空へ旅立った。