第5章 赤い腕章
リドル・ユリは、海賊女帝、ボア・ハンコックと共に現れた。
ジンベエはともかくこの者とも深い関係があったとは。
ユリは姿を現してから会議が終わるまで、始終堂々として、一人の戦士として何にも臆することなく己の要求を貫き通した。
肝が据わった女。それでいて、礼節もわきまえて、海賊に育てられたとは到底思えないほどの気品と立ち振る舞い。
まるで、かつて白髭とロジャーの船にいた侍たちのようだった。
ユリは七武海ではなく”護衛登録”だけの扱いにして、船を守るために戦力を使う事を許可してほしいようだった。
商船護衛兼船医である自分の役割に誇りを持ち
家族に背を背けたくないという思い
周りの者は全て早くから世界に名が知れ渡った者ばかりで強者だけが集まるこの場において、七武海の殆どを味方につけてしまうほど、大商社の護衛隊隊長以上の風格を見せつけた。
「律儀で堅苦しい女だからこそ、ディルバリーや家族さえ守れれば下手に海軍に楯突く程の大馬鹿者ではなかろう。
彼女は生い立ち関係なく反社会勢力ではない大企業組織の最高幹部に認められた。
それに、それだけの書類を集める事ができる人望の持ち主だということであろう?
護衛登録で充分だと思うが?」
気付けば、ユリの援護をするかのような提案をセンゴクに投げかけた。
ジンベエもハンコックもユリ自身も俺のその発言に驚きを隠せずにいた。
仕方なかろう。
あのミックフェルノの事件からの活躍を振り返れば
ユリの腕にある鮮やかな赤い腕章が
彼女しか相応しい者はいないと思えばこそだ。
結果、ユリの要求通り、護衛登録の扱いで収まり、七武海の席は埋まることなく会議は幕を閉じた。