第5章 赤い腕章
七武海召集の前日。
再度、赤髪からの電伝虫が鳴った。
『おい、お前も召集に応じるようだな。
大方ユリ狙いじゃねぇのか?』
「実際にあの女の戦うところを見て興味を持ったまでだ。
貴様にとやかく言われるようなことはないと思うが?」
『ユリに手ェだすんじゃねぇぞ。出されねぇようにも見張っとけ。』
目茶苦茶な事を言う男だ。
どれだけ過保護か。
しかし、この前まで”妹”と言っていたのが名前で呼ぶあたりから、少々心変わりした事を感じた。
「人にモノを頼む態度か。自分が守りたいものくらい自分で守れ。
戦士として興味があるだけ。女は興味がない。」
『お堅いなぁ相変わらず。守るさ。ただ釘刺しときたかっただけだ。
会えばわかるさ。アイツの周りに強いやつが集まる理由が』
恐らく片恋なのだろう。
一回りも歳が違うのにいい歳したやつがよく言うと軽く受け流していた。
聞けば、海の女神とユリは親子ではないものの血縁関係があるらしく戦い方も式神を使う以外はほぼ同じと言えた。
彼女らには何かしらの共通点があるのは、妖怪の魂が宿っているかららしい。
馬鹿にしてるのかと思ったが、
不自然な似方をしているところを見ればその話を信じるしかなかった。
当日、海軍本部の迎えにて、会議に出席。
すると、今回の七武海召集には全員が参加するという事がわかった。
極めて異例の事だ。
それだけ、あの女が世界からの注目を集めていたという事だ。
赤髪を義兄とし、リドル・ヨシタカの実妹。そして、あの最強の男と言われる白髭に娘と言わしめた女。
そして、父親や兄のように海賊になるわけでなく、商船の護衛官としての道を選び、世界一の大商社の最高幹部まで1年にも満たない異例の速さでの出世。
これだけ異例尽くしの異端児。
注目を集めないほうが無理だ。