第5章 赤い腕章
次の朝、咲と外に出て笛を吹く。
すると、一頭の子どものヒヒが恐る恐るこちらに近づいてきた。
「おいで。」
キッキキ
すると、隠れていたヒヒも寄ってくる。
いつもの曲を演奏した後、子どもが好きそうなのを吹いてやる。
するとなんて穏やかな顔をするんだろう。
うっとりして聞いているヒヒの表情が可愛らしい。
3曲ほど聞かせてやって、また明日と別れて、菜園で朝食で使う野菜を収穫して
ニュースクーから新聞を受け取りキッチンへ。
手際よく朝食を作りコーヒーの準備をする。
全てが終わった頃にミホーク様がこられた。
「おはようございます。どうぞ召し上がってください。」
「…あぁ。」
悪い反応ではなさそう。
少し驚いてるようす。
「栄養学にも精通してるのか?」
「えぇ。病気の予防だけではなく、戦うものにはパフォーマンスも重要との考えで学びました。
あと、顔や手を見ておおよそ栄養素の過不足も読み取れます。」
「そうか。バランスも味もいい。ちなみに俺に何が不足してると見た?」
「亜鉛と葉酸です。」
「覚えておこう。
食べたら始めるぞ。」
「はい。よろしくお願いします。」
外はようやく太陽が顔を出し、屋敷に光が差し込んできていた。